現在の研磨剤は粒子が丸く加工され、歯を傷めない硬度でありながらプラークや着色が効果的に除去できる品質を備えるに至りました。その含有量も減っています。
以前は虫歯や歯周病などのために失う歯は、他の先進国に比べて少なかったのですが、最近逆転されつつあり、日本にとって深刻な問題となっています。
予防先進国では、歯質の強化や再石灰化の促進に効果の高いフッ素が、歯みがき剤はもちろん、水道水や錠剤による摂取などのさまざまな方法で盛んに利用され、虫歯予防に大きな効果をあげています。
薬用成分としてのフッ素には、歯質強化の効果が高まるようイオン化しやすくするなど、徹底的に工夫が加えられています。
フッ素利用が遅れているとはいえ、こうしたフッ素入りの歯みがき剤を上手に使って毎日一定量を口のなかに供給すれば、虫歯予防に多大な効果があります。ただし、使い方にはコツがあります。できるだけ長く有効濃度のフッ素を口のなかに残っていることが重要なポイントなのです。
これからは、進化した歯みがき剤を上手に使って、大切な歯を守っていきましょう。ほんの少しの努力ですが、継続すればその効果を必ず実感なさることでしょう。
歯みがき剤の配合成分って?
使い方にはコツがある!
虫歯は、虫歯菌が砂糖などを利用して作り出す酸によって、歯のカルシウムが溶けて(脱灰して)起こります。普通は少々歯が溶けても、唾液中のカルシウムなどが歯に戻って再石灰化するので虫歯の発生は抑えられるのですが、歯みがきが足らなかったりすると、プラーク(歯垢とも呼ばれる虫歯菌の巣)のなかで酸が多く作られて虫歯ができます。
でも、フッ素を使うと虫歯のリスクを減らすことができます。有効濃度のフッ素が歯の周りにあると、再石灰化が促進されるからです。また、フッ素はプラークや酸をできにくくし、しかも歯の表面に取り込まれると、歯を溶けにくくしてくれるのです。こんなに優れたフッ素の効果を、毎日する歯みがきで利用しない手はありません。
ただし、効果を上げることがあります。歯みがきのあと、できるだけ長く有効濃度のフッ素が口に残ることが重要なのです。歯みがきのあと、口のなかのフッ素は唾液によって薄まっていきます。でも、有効濃度0.05ppm~0.1ppmというごく微量のフッ素が次の歯みがきまで口のなかに長くとどまってくれると、虫歯になるリスクがぐっと減るのです。
ライオン「nico」雑誌より