子どもの歯並びをゆがませる姿勢のクセ

人間は生まれた時は、ほとんどの人が左右対称な形をしています。
それが習癖でささいな力が加わる事で、体や顔面、口腔が少しづつ非対称になっていくのです。
歯並びに影響する要因の一つに、日常的な姿勢があげられます。
寝ている時の「うつぶせ寝・横向き寝」とリラックスしている時の「頬杖」は歯列への影響が大きいと言われています。

態癖は無意識で行っている為、それを改善するには、まず子どもの本人に気付かせる事が必要です。
その時に役立つのが生活習慣のチェックです。
寝ている時やくつろいでる時などお子さんの日常の姿勢を本人や保護者の方に振り返ってもらいます。
テレビを見ながら頬杖していないか、寝ている時に横向きやうつぶせ寝をしていないか振り返ってみて下さい。

クセが疑われた時の確認事項

  1. 寝る時はどんな姿勢をしていますか(寝始めや起きた時の姿勢)
  2. 読書する時はどんな姿勢ですか(座っている時、寝ている時の姿勢)
  3. テレビを観ている時はどんな姿勢ですか(座っている時、寝ている時の姿勢)
  4. 家でリラックスしてる時はどんな姿勢ですか
  5. 体操座りをしている時、顎をひざの上に乗せていませんか
  6. 勉強している時に、眠くなったり疲れているとどんな姿勢になりますか
  7. パソコンはしますか?パソコンをしている時や疲れてきた時はどんな姿勢になりますか
  8. 電車や車に乗っている時はどんな姿勢ですか
  9. 食事中にテレビを観ますか?その時テレビの位置はどこですか?
    また、食事を飲み物で流し込んでいませんか
  10. どんな食べ物が好きですか?軟らかい物を好んで食べていませんか
  11. 爪を噛む癖、指しゃぶりの癖はありますか?今はなくても以前にありましたか
  12. 口元が緊張しやすい(力が入りやすい)ですか?食いしばりや唇を吸引する癖はないですか
  13. 口唇を巻き込んだり、舐めたり、噛んだりしていませんか
  14. 前や横に舌を出す癖、舌で歯を押す癖、舌が動きにくい、言葉が不明瞭な事はありませんか
  15. 吹奏楽器を演奏していますか?
  16. その他、生活習慣の中で、顎を後ろや上方に押しつけたり、歯に力をかけるようなことはありませんか

改善のための方法

うつぶせ寝、横向きや頬杖を直すには、患者さん自身に気を付けてもらうしかないのですが、なかなかやめられないものです。
特に睡眠時は、無意識なので改善するのが難しいです。

①日常でのクセを意識してもらう
自分がどんな姿勢をしてるかどんな寝方をしているか写真に残しておくと、子ども本人にもイメージがつきやすくなります。

②家族の協力を仰ぐ
睡眠壁も頬杖も、子どもの場合は家族の協力が大切です。

③うつぶせ寝には・・・
しばらくの間寝袋を使用してもらうと手が寝袋の中にあるので、うつぶせ寝が自然と防止されます。

④横向き寝には・・・
「口腔保護枕」を使用してもらうと、口腔への圧力を気にせず、安心して横向き寝が出来るようになります。
枕の真ん中に頭を置いて寝ても、人間は必ず寝返りをうちます。この口腔保護枕は、左右に寝返りを打っても口腔の周囲に枕が当たらないよう、両端を切り落とした形になっています。
小さなお子さんの場合は、この枕の上におうちの枕や畳んだバスタオルを置いて、寝返りを打っても口腔の周囲に当たらないようにしてもらうと良いでしょう。

⑤頬杖には・・・
頬杖がやめられない子どもには、必要な時以外は机の上に手を乗せないようにアドバイスをします。
頬杖は家にいる時だけではなく、学校の授業中も気を付けてもらうことが大切です。
体操座りも意外な盲点で、膝の上に顎を乗せているのは机で頬杖しているのと同じです。

⭐ほかにも要注意する事⭐

・通学時のショルダーバッグ
中高生になると、重い教科書を入れショルダーバッグを同じ側の方にかけていると体のゆがみが生じてきます。
登校時は右肩、下校時は左肩というように、左右均等にかけると良いでしょう。

・部活動での姿勢
吹奏楽は口元を押さえたり、力が入りやすい為下顎が後退したり、楽器の当たる前歯部周辺に影響が出たりします。
バイオリンなども顎で固定する為、その方向に押さえられて食いしばったりすることで、体のバランスも歪んでいきます。
美術や手芸もずっと下を向いて作業するため。下顎が後退しやすく。食いしばりやすい状態になります。
長時間の作業は避け、休みやすみ行っていくようにしましょう。


さまざまなクセとは共存していかなければなりません。
気を付けていても時間がたてば忘れてしまったり、無意識のうちに別のクセでゆがみが生じてきたりと、終わりがありません。
特に成長期の子どもには、自分のクセに気付き、気を付けてもらうことが健やかに成長する一助となります。

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