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歯並びがガタガタになるのは、顎が小さいから?本当の原因を解説!


こんにちは!

岡山市東区のさかい歯科クリニック、副院長の坂井です。

前回のブログでは、子どものガタガタの歯並び、歯科用語でいう『叢生(そうせい)』についてお話ししました。

乳歯のときはきれいだったのに、永久歯が生えてきたら急にガタガタになってしまった。

そんなお子さんは少なくありません。

では、なぜ歯並びはガタガタになってしまうのでしょうか?

保護者の方からよく聞かれるのが、

「最近の子どもは顎が小さいから、歯が並ばないんですよね?」

という質問です。

確かに、歯が並ぶスペースが不足していることは、叢生の大きな原因の一つです。

しかし、私は「顎が小さいから」という説明だけでは不十分だと考えています。

なぜなら、歯並びがガタガタになる原因には、歯の大きさや生え変わり、遺伝、口腔習癖など、さまざまな要素が関係しているからです。

今回は、『子どもの歯並びがガタガタになる本当の原因』について、研究論文を交えながら解説していきます!


不正咬合についてのブログは他にも掲載中です!

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私は日頃から小児矯正の診療に携わっており、2026年には歯科医師約140名を対象とした講演会にて、不正咬合をテーマに講演する機会をいただきました。今回も、不正咬合の一つである『叢生』についてわかりやすく解説していきます!

2026年 第1回BTB総会にて反対咬合をテーマに140名の歯科医師の先生方へ講演<br />

まず、叢生を理解するうえで最も大切なのが、

です。

前回のブログでは、4人分の椅子に5人が座ろうとするイラストを紹介しました。

椅子の幅が足りなければ、全員がきれいに並んで座ることはできませんよね。

歯並びも同じです。

歯が並ぶ場所に対して歯の大きさの合計が大きいと、歯が重なったり、ねじれたりしてしまいます。

他の表現だと、歯並びは「顎の骨=駐車場」と「歯=車」にも例えられます。

四台の車を止めるには四台分の駐車場が必要です。

例えば、歯が大きい(=大型車)の場合にはたとえ四台分の駐車場でも入りきらないですよね。

駐車場が三台分しかなければ、四台の車は止められません。

このように、歯と顎の骨のバランスが大切なのです

歯科では、このような問題を『歯と歯列弓の大きさの不調和(tooth-size/arch-length discrepancy)』と呼びます。

例えば、歯を並べるために必要なスペースが70mmなのに、実際に使えるスペースが65mmしかなければ、5mmの不足が生じます。

では、このスペース不足はなぜ起こるのでしょうか?

実は、大きく分けて2つの可能性があります。

①歯が並ぶ場所が小さい

②歯そのものが大きい

ということです。

同じ5mmのスペース不足でも、原因が違えば、治療の考え方も変わってきます。


まず考えられるのが、歯が並ぶ場所そのものが不足しているケースです。

例えば、上顎の歯列が横方向に狭く、V字型に近い形をしているお子さん。

このような場合、永久歯が並ぶためのスペースが不足していることがあります。

ただし、ここで一つ注意していただきたいことがあります。

「歯列が狭い」ことと「顎の骨そのものが小さい」ことは、必ずしも同じではありません。

歯列の幅は、歯の傾きや位置によっても変わります。

また、上顎骨の横幅が骨格的に不足しているケースもあります。

この2つでは、必要な治療が異なる場合があります。

顎は成長するけれど、いつまでも広がり続けるわけではない!

実は、歯が並ぶスペースは、子どもの成長とともに変化します。

1997年にBisharaらが発表した研究では、幼児期から成人期までの歯列の幅の変化が調べられました。

その結果、下顎の犬歯間の幅は、平均して8歳頃までにほぼ確立されることが報告されています。

一方、上顎の奥歯の幅などは、それ以降も成長に伴って変化することがわかっています。

つまり、歯列の幅は成長とともに広がることがありますが、その変化は年齢や部位によって異なり、いつまでも同じように広がり続けるわけではないのです。

では、矯正装置を使えば、歯列をいくらでも広げることができるのでしょうか?

答えは「いいえ」です。

矯正治療では、装置を使って歯列の幅を広げ、永久歯が並ぶスペースを獲得することがあります。

しかし、歯は顎の骨に支えられています。

歯を過度に外側へ動かしてしまうと、歯を支える骨や歯肉に負担がかかる可能性があります。

また、無理に拡大した歯列は、治療後に元の位置へ戻ろうとすることもあります。

そのため、「ガタガタだから、とにかく歯列を広げればいい!」という考え方は適切ではありません。

無理に歯列を広げてしまうと、ゴボっと突出したような口元や顔つきになってしまう場合もあります。

歯の位置を調整することでスペースを獲得できるのか。

骨格的な上顎の狭窄に対応する必要があるのか。

そもそも、どこまで安全に拡大できるのか。

これらを診断することが重要です。

私は、小児矯正で大切なのは、単に歯列を大きくすることではなく、お子さん一人ひとりの成長や骨格に合った、無理のない歯列を目指すことだと考えています。

歯列が狭いことは叢生の原因の一つですが、すべてのガタガタが拡大によって解決できるわけではないのです。


実は、ここも非常に重要です。

同じ大きさの歯列でも、歯が小さければ余裕を持って並びます。

反対に、歯が大きければスペースが不足します。

つまり、

「顎が小さいからガタガタになる」のではなく、「歯が大きいからガタガタになる」

というケースも存在するのです。

実際、叢生のある人とない人を比較した研究では、叢生群で歯冠幅径が大きい傾向が報告されています。

ただし、歯が大きいこと自体が悪いわけではありません。

大切なのは、あくまで歯列とのバランスです。

例えば、同じ大きさの歯でも、歯列に十分なスペースがあれば問題なく並ぶことがあります。

一方で、歯列が平均的な大きさでも、歯が大きければ叢生になることがあります。


さらに、もう一つ大切なことがあります。

それは、『上の歯の大きさの合計』と『下の歯の大きさの合計』のバランスです。

実は、上顎と下顎、それぞれの歯列に十分なスペースがあったとしても、上下の歯の大きさのバランスが合っていなければ、うまく噛み合わないことがあるのです。

例えば、上の前歯に対して下の前歯が相対的に大きい場合。

上下の歯をきれいに並べても、前歯の噛み合わせにずれが生じたり、理想的な噛み合わせを作ることが難しくなったりする場合があります。

そこで重要になるのが、

です。

ボルトン分析とは、上下の歯の幅をそれぞれ測定し、その大きさの比率を調べる分析方法です。

上下の前歯6本ずつを比較する方法と、第一大臼歯までの12本ずつを比較する方法があり、上下の歯のサイズに不調和がないかを評価します。

当院でも、矯正治療を計画する際には、必要に応じてボルトン分析を行い、上下の歯の大きさのバランスを確認しています。

この症例では、『上の歯の大きさの合計』よりも『下の歯の大きさの合計』の方が大きい状態です。

二期矯正として、大きい下のはをIPRという処置で小さくして、上下のバランスの調和をとった上で再矯正を行いました。

もちろん、ボルトン分析の数値だけで噛み合わせの良し悪しが決まるわけではありません。

歯の傾きや顎の前後的な位置関係なども含めて、総合的に判断する必要があります。

このように、歯並びを考える際には、

という、2つの視点が大切になります。

私は歯並びを診断するときに、単に「顎が小さいかどうか」だけではなく「歯が並ぶスペース」と「上下の歯のサイズのバランス」の両方を重要視しています。

なぜなら、矯正治療の目的は、単に上下の歯列をそれぞれきれいに並べることだけではなく、上下の歯がしっかりと噛み合う状態を目指すことだからです。


ここからは、小児歯科ならではのお話です。

子どもの歯並びは、永久歯が生え揃うまでの間に大きく変化します。

特に注意したいのが、

「乳歯が本来の時期より早く抜けてしまうこと」

です。

例えば、乳歯の奥歯が大きなむし歯になり、予定より早く抜歯しなければならなくなった場合。

乳歯がなくなったスペースに、後ろの歯が移動してくることがあります。

すると、本来その場所に生えてくるはずだった永久歯のスペースが不足してしまうことがあるのです。

つまり、

というケースです。

このような問題を防ぐために、必要に応じて『保隙装置(ほげきそうち)』という装置を使うことがあります。

保隙装置とは、乳歯が早く抜けた場所のスペースを維持するための装置です。

ただし、乳歯が早く抜けたら全員に保隙装置が必要というわけではありません。

抜けた歯の種類、年齢、永久歯の位置、現在のスペースなどを考慮して判断します。

また、乳歯が適切な時期に抜けず、永久歯が本来とは異なる方向から生えてくるケースもあります。

そのため、子どもの叢生を考えるときには、

「今ある歯」だけでなく、「これから生えてくる歯」

まで確認することが大切です。

そして。何より一番は、乳歯を抜歯しなくていいように、

しっかりとむし歯を予防することも、立派な叢生予防

と言えるわけです。


ここも、保護者の方からよく聞かれる質問です。

答えは、

です。

歯の大きさや形、顎顔面の形態などには、遺伝的な要素が関係しています。

そのため、ご両親の歯並びや顎の特徴が、お子さんにも似てくることはあります。

ただし、歯並びは遺伝だけで決まるものではありません。

永久歯への生え変わり、乳歯の早期喪失、口腔習癖など、成長過程で起こるさまざまな要因も関係します。

つまり、

「親の歯並びが悪いから、子どもも必ず悪くなる」

というわけではありません。

反対に、ご両親の歯並びがきれいでも、お子さんに叢生が生じることはあります。

私は、遺伝は重要な要素の一つですが、それだけで将来の歯並びを決めつけるべきではないと考えています。


ここは、私が日頃の小児歯科診療でも大切にしている部分です。

お子さんの歯並びを診るとき、私は歯だけではなく、

・普段、お口が開いていないか
・鼻呼吸ができているか
・舌がどこに位置しているか
・唇を自然に閉じられるか
・指しゃぶりなどの習癖がないか

といったことも確認します。

なぜでしょうか?

歯並びは、歯の周囲にある舌や唇、頬などの影響を受けながら形成されていくからです。

例えば、口呼吸のあるお子さんでは、鼻呼吸のお子さんと比較して、上顎歯列が狭い傾向を示した研究があります。

また、口呼吸と高口蓋、交叉咬合などとの関連も報告されています。

ただし、ここは慎重に考える必要があります。

「口呼吸だから必ず歯並びがガタガタになる」と証明されているわけではありません。

口呼吸と歯列形態の間に関連があっても、口呼吸だけが原因なのか、もともとの顎顔面形態や鼻の通りにくさなどが関係しているのか、簡単には判断できないからです。

また、舌の位置や唇の機能についても、すべての叢生の直接的な原因と断定することはできません。

だからこそ、私は口呼吸や舌の位置を、

として評価しています。

必要に応じて耳鼻咽喉科と連携したり、口腔機能の評価やトレーニングを検討することもあります。

ただし、トレーニングだけで不足したスペースが必ず獲得できるわけではありません。

歯並びの問題と口腔機能の問題は、関連を考えながらも、それぞれ適切に評価することが大切です。


これも、よく耳にする話です。

「昔の子どもは硬いものを食べていたから顎が大きかった」

「今の子どもは柔らかいものばかり食べるから顎が小さい」

という説明です。

確かに、咀嚼による機械的な負荷と顎顔面の成長には関係があると考えられています。

動物実験などでは、食物の硬さによって顎顔面の形態に違いが生じることも報告されています。

しかし、

と断定できるほど、人を対象とした強いエビデンスが揃っているわけではありません。

さらに、硬いものをたくさん噛ませれば顎が大きくなり、ガタガタの歯並びが治るというわけでもありません。

私は、食事の際にしっかり噛むことは大切だと考えています。

ただし、それは無理に硬いものを食べさせるという意味ではありません。

年齢や発達に合った食事を通じて、適切な咀嚼機能を身につけることが重要です。

そして、すでにスペース不足があるお子さんでは、食生活の改善だけに頼らず、歯科的な評価を行う必要があります。


ここまで読むと、

「結局、何に気をつければいいの?」

と思われるかもしれません。

私が大切だと考えているのは、次の3つです。

1. 乳歯を大切にすること

乳歯は、永久歯に生え変わるまでの間、噛む機能を担うだけでなく、永久歯のためのスペースを維持する役割もあります。

むし歯などによって乳歯を早期に失うと、永久歯のスペースが不足することがあります。

そのため、乳歯のむし歯予防や適切な治療は、将来の歯並びを考えるうえでも重要です。

2. お口の機能にも目を向けること

普段からお口が開いている、鼻呼吸が難しい、指しゃぶりが長く続いているなど、気になることがあれば歯科医院で相談してみてください。

必要に応じて、耳鼻咽喉科などと連携しながら評価していきます。

ただし、口腔機能を整えれば必ず叢生を予防できる、というわけではありません。

3. 永久歯への生え変わりを確認すること

そして、私が最もお伝えしたいのがこちらです。

「永久歯が生えてきてから初めて歯並びを見る」のではなく、「これから生えてくる永久歯のスペースを考える」

ということです。

特に6〜8歳頃は、前歯の生え変わりが始まる重要な時期です。

今の歯並びだけでなく、これから生えてくる永久歯の位置やスペースを確認することで、必要な対応を検討できます。

このようなことを考えた上で最適な治療を提案いたします。

もちろん、早く相談したからといって、必ず矯正治療を始める必要はありません。

経過観察が最も適切なケースもあります。

大切なのは、必要なタイミングを見逃さないことです。


今回は、子どもの歯並びがガタガタになる原因について解説しました。

叢生の基本にあるのは、

です。

しかし、そのバランスが崩れる理由は一つではありません。

歯列の幅や形、歯の大きさ、乳歯の早期喪失、永久歯の萌出方向、遺伝など、さまざまな要素が関係します。

さらに、口呼吸や口腔習癖、咀嚼機能なども、歯列の発育を考えるうえで確認しておきたい要素です。

だからこそ私は、

「ガタガタだから、とりあえず顎を広げましょう!」

という考え方では不十分だと思っています。

まずは、

「なぜ、この子の歯並びはガタガタになっているのか?」

を診断すること。

それが、適切な治療を選択するための第一歩です。

では、実際に歯並びがガタガタになってしまった場合、どうすればよいのでしょうか?

「何歳から矯正を始めればいいの?」

「顎を広げれば、歯を抜かずに治せるの?」

「インビザライン・ファーストでもガタガタは治せるの?」

次回はいよいよ、

というテーマで、年齢別の治療方法について詳しく解説します!

矯正相談をすることと、矯正治療を始めることは別です。

お子さんの今の状態と、これからの成長を一緒に考えていきましょう!

🔻🔻ガタガタで抜歯矯正を行なった私自身の体験談はこちらから🔻🔻

岡山市東区・赤磐市・瀬戸内市周辺で、お子さんのガタガタ・叢生・小児矯正について気になることがありましたら、ぜひ一度さかい歯科クリニックにご相談下さい。

【さかい歯科クリニック 小児矯正ページはこちらから。ガタガタの症例も多数掲載しています】

参考文献

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  9. Development of Jaw and Deciduous Teeth in Japanese Children—Comparing Size of Crown and Alveolar Area between Today and 40 Years Ago.

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