歯周病は糖尿病と同じく慢性疾患で、一度進行すると完全に元に戻すことが出来ません。自覚症状が少なく、長い年月をかけて進行します。腫れや痛みを感じてもしばらくすると一旦なくなり、治ったと思う事もよくあります。
また、歯科医師に治療してもらっていても、痛みや腫れがなくなると治療を中断してしまうケースもあります。その為、気づくと手遅れになっていて、抜歯を余儀なくされる場合が少なくありません。

食べ物のカスなどから発生するプラーク(歯垢)。その中に含まれる「歯周病菌」によって引き起こされる病気が「歯周病」です。
症状としては、まず歯茎が腫れてブラッシングの際などに血が出るようになり、進行すると膿が出るようになります。さらに進行すると歯槽骨(顎の骨)が溶かされて、結果として歯が抜けてしまうのです。
歯周病は初期の自覚症状がほとんどないことでも知られており、歯の痛みや違和感に気付いたときには重症になっていることも珍しくはありません。
口腔内には非常に多くの細菌が生息しており、その中には体の中に入り込むことで重篤な病気を引き起こすものも存在しています。その中の1つが歯周病菌で、何らかの原因により体内に入り込むことで、心臓病や肺炎、糖尿病、早産といった症状が引き起こされると言われています。


歯周病の原因


1.プラーク(歯垢)

歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。プラークは歯を磨かないでいると、ねばねばくっついてくるものです。これは単に食べかすが溶けたものではなく、70%は細菌の塊です。細菌やその毒素によって歯ぐきに炎症が起き、その結果として出血、膿、腫れなどになります。歯周病の原因となる細菌は単独の種類ではなく、いくつかの種類が共同で巣をつくっています。巣はネバネバしたタンパク質の膜で覆われています。このタンパク質の膜をバイオフィルムと呼びます。



2.バイオフィルム

バイオフィルムは特別なものではなく、自然界ではよくみられるものです。排水溝のぬめりも代表的なバイオフィルムです。
歯周病の原因となっているバイオフィルムは、主として歯あるいは根の表面についています。歯ぐきはこのバイオフィルムに面しているために腫れなどの症状を起こします。
歯ぐきの腫れを抑えるような薬は症状を和らげるための治療法でしかなく、原因を取り除くための治療法にはなりません。抗生物質(化膿止め)を用いても、バイオフィルム内には薬が浸透しづらいため、単独の細菌に用いるよりも、100~500倍高い濃度を必要とします。これでは生体のほうに強い副作用が出てしまいます。
どのような薬であれ、急性症状で歯ぐきに細菌が入り込んできた場合には一時的に有効ですが、歯周病の原因を取り除く治療には至りません。
歯磨きや歯石取りといった、機械的にバイオフィルムを取り除く方法が、歯周病の原因を取り除く治療法となります。


3.感染

歯周病は感染症つまり人から人へうつる病気です。いくらメインテナンスや歯磨きを頑張っても家族からうつされることもあります。ですから、家族全員で気をつけなければいけません。
家族の中に症状の重い方がいる場合は、歯磨き粉・お箸・スプーンなどを共用しないように心掛けましょう。




他の病気との関連性


心臓病
歯周病菌によって炎症が起こり、血栓ができることで心筋梗塞や狭心症が引き起こされます。
また、心臓に菌が入り込むことで心内膜が炎症を起こし、細菌性心内膜炎を発症させることもあります。
糖尿病
糖尿病の方が歯周病にかかると、糖尿病の症状が悪化する危険があります。
また、歯周病が糖尿病を引き起こすこともあります。

肺炎
歯周病菌が肺に入り込んで感染すると肺炎を引き起こすことがあります。
早産
歯周病菌が引き起こした炎症が子宮に影響し、早産を引き起こすことがあります。歯周病を患っていると、早産や未熟児の出産確率が約7倍になってしまいます。

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